
銀河とアップルパイ
春の空は
銀河ガラスを通したように
青くぼんやりとしていた
川沿いには
ぽつりぽつりと
浮雲のような草むらがいくつも並び
花たちが風に揺れている
テイカカズラの蔓は
競い合うように絡み合い
ぐんぐんと
空に向かっている
鷺がゆるりと舞い降りて
足元を小さく躍らせた
陽だまりを楽しんでいた猫たちは
気配に誘われ
草むらから顔を見せてくれた
少し歩くと
風向きが変わり
焼き上がりのアップルパイの香りがふわりと漂った
小鳥はいつもより大きな声で春の歌を歌い
正午前の
きらきらとした銀河のヒカリの中
渡り鳥が贈り物を運んでいる
列をなして
光と青と緑の世界を駆け抜けていった